忍者ブログ
caravan活動記録と雑記。 登録キャラ詳細はプロフィール欄リンクよりご覧ください。
Posted by - 2024.05.14,Tue
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

Posted by mio - 2008.09.23,Tue
盗賊に襲撃を受けたときのお話。

>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>


学術都市を出発し、隊商は治安が悪くて有名な地域を通過していた。
隊商の相談役いわく、塩湖付近であるために交易が盛んで、そのため大規模な盗賊団が潜伏しているらしい。
街から街へ渡りあるく過程で、隊商はすっかり大所帯だ。移動の隊列も長い。
鷹の目をもつ弓使いが常に周囲を警戒してはいても、全てを把握することは難しい。
結果、隊商の護衛達は今まで以上に気の抜けない状況下にあった。

都市を発ってから3日後。それが始めての襲撃だった。
野営明けの移動準備に追われる隊列最後尾に、奇襲はかけられた。
見張りからは死角になる岩場からおしよせた盗賊たちが目指すは、荷だ。

「きたよ!」
最初に彼らを視認した弓兵が、すぐさま弓を構え、放った。その矢は弧を描き、見事先頭の男に突き刺さる。的となった男は、そのまま岩場を転げ落ちて行った。
しかし、その程度でひるむ盗賊たちではない。勢いを殺すことなく、彼らは進む。

敵襲を知らせる音が、一帯に鳴り響く。
砂塵舞う砂漠は、一瞬で戦場と化した。

数名の護衛が、隊商に迫る盗賊たちに向かって走りこんだ。
前哨戦。相手は多勢だ。とにかく、、賊が荷と非戦闘員に近づくことを阻止しなければならない。

黒い衝撃が、一人の盗賊を弾き飛ばす。
もう一閃が風を切り、さらに一つ骸を増やす。
「へへ、一番槍ってか?」
人数の不利など気にしていない様子で快活に笑う長身の男は、新入りのミロだ。
盗賊の曲刀の届かない間合いから、彼の長槍がまた一閃する。一度の大振りで、屈強な賊が宙を舞った。
びゅん、と槍を降りきり構えなおせば、ミロに向かってきていた盗賊たちがひるむ。2メートルの長身と、こちらも2メートルを越す長槍の作り出す間合いを取りきれないのである。
超重量武器であるはずの槍は、片手で支えられているというのにびくともしなかった。
「おい、来ねえんならこっちからいくぜ?」
体躯に見合わぬすばやい動作で、ミロは盗賊たちにむかって駆け出した。

何人もの護衛が、各自で盗賊たちを撃退していく。
シャムシールの一撃で、大剣の人薙ぎで、彼らは確実に盗賊たちを減らしていった。
しかし、最後尾を守る護衛と盗賊団の人数には大きな隔たりがある。
戦士だけで全員を抑えきるのは困難だ。

しかしそのようなことは護衛陣も承知。彼らはこの道の専門家なのである。
近距離専門者が抑え、魔法と弓が支援する。それが迎撃の基本形である。
ミロの槍を潜り抜け荷に肉薄しようとする賊には、業火の洗礼が待ち構えていた。

「あ~、ちょっとやりすぎたかなあ?」
盗賊が、いや、盗賊だった消し炭が崩れおちる。
それをみて、この場にそぐわぬ声を上げたのは、火を放った張本人のニマである。
「姉さん、頼むから、俺には絶対に当てんなよ!」
この前天幕で話していたとおりの超火力ぶりに、ミロは思わず苦笑した。その間にも男が一人、彼の槍に突き刺され絶命する。
返す腕でひゅん、と軽々槍を振れば、その勢いに骨を砕かれもう一人が昏倒し、砂に埋もれた。

「気をつけるから大丈夫ー、たぶん、ね」
言ったそばから、耳の横を火球がかすめていって、ひやりとさせられる。髪のこげる嫌な臭いがかすかに鼻を掠めた。
「おいおい、消し炭だけは勘弁だぜ」
一瞬顔を向け、肩をすくめれば、ニマはいつものようにいたずらな笑みを浮かべた。

どすどすっ、という鈍い音が視界の外から聞こえ、男たちが数人、突っ伏すように倒れた。
振り向けば、大きな剣を構えた、銀髪に褐色肌の男が立っていた。他にも二本の曲刀を構えた赤い髪の女戦士や、ミロと同じぐらい大柄な槍使いの姿も見える。
ようやく前の方の隊列から、護衛たちが加勢に来てくれたようだ。
「お、サハンじゃんか」
のんきにも手を降ると、サハンがぎっと眉間の皺を深めた。普段から厳しい表情が、今日はますます険しい。
「軽口を叩いている暇があるならさっさと片付けろ!まだ、荷造りもしなければならないのだろう」
大剣を構えたまま、怒鳴りつけられる。しかしそれに臆するニマでもなければミロでもない。
「わかってるわよ」
「手は動かしてるぜ」
二人で口をそろえて言い返せば、サハンが小さく嘆息した。

「しかしあんた姫さん見てなくていいのかよ?」
「背負って戦えるわけがないだろう!スーファ殿のところに預けてある。」

扇商人である彼女のところには、専属の護衛がいたはずだ。確かにあそこならば、安全だろう。
預けるところがなかったら本当に彼の姫を背負って戦いかねない騎士は、向かってきた盗賊をまた一人、その大きな剣で切り倒した。
その鋭い眼光が、次の獲物に目をつける。ひるんだ盗賊は、彼が認識する間もなく大剣の餌食となっていた。
負けじとミロが敵の獲物を蹴り飛ばし、反動を利用してがら空きの急所に槍を突き刺す。
連携する気などかけらもない動きだが、サハンもミロも、御互いかなりの場数を踏んだ護衛である。双方の長い間合いをうまく活かして、目に付いた盗賊たちをたたき伏せていく。
無論、飛んでくる『援護』の火球に気をつけながら。

「あいかわらず、いい剣筋だな!顔と一緒でおっかねえぜ」
「ミロ殿も、昼寝ばかりして鈍ったということは無いようだな」

軽口を交わすのは、いつものことだ。
そんなやり取りを合間に二、三交わすうちに、気がつけば向かってくる盗賊の姿はいなくなった。

付近を見渡せば、ほとんどの護衛たちがすでに武器を収めている。
撃退は、成功したということのようだ。

「おつかれさま~」
ニマが、にこにこと近づいてきた。
お疲れ、と返してミロはその場にしゃがみこむ。視線の先には、盗賊たちの現れた岩場がある。
「しかし、あっけなくねえか?」
「たしかに、最後尾以外はなんともなかったんだもんね?サハンがここまで来てくれてるってことは。」
サハンは、まだ剣を収めていない。一応、伏兵の可能性を危惧しているのだろう。
「今回の賊は、この隊商の規模を読みきれていなかった。噂の盗賊団ではなく、別の小規模な一団だろう」
「ははっ、どおりでゴロツキに毛ぇ生えた程度の連中だったわけか」

この近辺を脅かしている盗賊団ならば、確実に地の利と人数を活用し、隊商を多方向から攻め、分断にかかってくるだろう。
そうなれば他の場所からの護衛の援護など、望めようもない。
しかしこの盗賊達は規模も小さく、連携もまるで無し。殿の護衛に対する数の有利を活かしきれていなかった。
結果、その事実が分かった時点で、サハンたちが援護に駆けつけられたというわけである。

撃退は成功、伏兵はなし、荷作りを再開せよとの伝令が回ってきて、はじめてサハンは剣を収めた。

ミロも面倒そうに立ち上がり、槍を肩に担ぎなおした。ニマはといえば、いつの間にか消えている。
ミロはそのすばやさにあっけにとられたが、すぐに気を取り直して、
「しかし、こりゃあ仕事も増えそうだな」
「何、そのたびに追い払えば良いだけのこと」
静かだが、確かな自信を込めた口調で、サハンが言い放つ。
「まあ、そうだけどよ」
「なにか問題でも」
ミロは頭をかいて、笑った。
「おちおち昼寝もしてらんねえなあ」

白輝の都までは、順調に行ってあと10日。隊商の護衛達の、慌ただしい日々はしばらく続きそうだった。

 
 

>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>
サハン@秋吉さん、ニマ@青砥篤睡さんおかりしました。
ほかの方もうっすらとおかりしてます。(本当はもっといろんな方おかりしたかったけど・・・力不足。)

 

PR
Comments
Post a Comment
Name :
Title :
E-mail :
URL :
Comments :
Pass :   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
TrackBack URL
TrackBacks
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
フリーエリア
Template by mavericyard*
Powered by "Samurai Factory"
忍者ブログ [PR]