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caravan活動記録と雑記。 登録キャラ詳細はプロフィール欄リンクよりご覧ください。
Posted by - 2024.05.14,Tue
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Posted by mio - 2008.10.14,Tue
アーリクとミロが出会ったころのお話。長くなったので途中まで。
いつも通り折りたたんであります。
基本的に想像力が皆無なので、タイトルおもいつかなーい。

大したこと無いですが、怪我を縫合とかしてます、苦手な方はご注意を。

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その日、一人の患者が、店仕舞の直前に飛び込んできた。
脇腹をかばいながら、だがしっかりとした足取りで入ってきたのは、私と同じくらいの年の黒髪の青年だった。天井に届きそうな規格外の長身と黒い服装のせいで、やけに細身に見える。が、鍛え上げられた体躯に、脆弱そうな印象はかけらもない。
彼は私と目をあわせるなり、にっこりと笑った。
「あんたが先生か?」
明るい調子にあまりそぐわない、低い声だ。
「診察室で患者を待ち構えて座っている男が医者以外だったら、何だと言うんだ」
「は、ちがいねえや」
少々相手の癇に障るようないい方をした自覚はある。が、相手は一向に気にとめていない様子だった。
「それで、ご用件は?」
「この前怪我したところが、なんかやばそうなんだ。みてくれねえか?」
軽い口調で告げた男を座らせ、患部を見せるように促す。彼が無造作に黒い服を脱げば、腹部に巻かれた包帯には血がしみていた。
おざなりに巻かれた包帯を慎重にはがしてみたら、患部はあきれたものだった。
彼の脇腹に走った大きな傷は、切れ味の悪い剣にでもやられたのだろうか、いびつな形だ。消毒も縫合もせずにほおって置かれたのだろう、すっかり化膿しており、傷口も開きかけていた。私はあきれるあまり、しばらく言葉に詰まった。
「あと少しで、切開が必要だったな、よくこれだけ放っておいたものだ。いつ怪我をした?」
「えーっと、5日くらい前かな。街まで距離があるところだったから、すぐにどうこうもできなくてよ。大した傷でもなかったから、結局ほっといた」
大した傷でもない、か。たしかに切傷自体は致命傷ではないが、十分縫合してもいいレベルである。
「細菌が入ると、こうなる。スタルブニャークの菌だったら死んでいるところだ。」
「スタ……?」
ああ、失念した。この地域の言葉では、なんといったろうか。
私は簡潔に、単語の意味を説明した。あたかも、今漏らした単語が、単なる専門用語であったかのように。
その無頓着な男は、私の説明を聞くと苦笑しながらいった。
「あっちゃー、せめて酒でもぶっかけとけばよかったな」
のんきなものだ。

 私は手早く膿を排除して傷口を消毒、縫合した。患者はいちどだけいてえ、とつぶやいただけで、おとなしいものだった。
まあ、刀傷を化膿するまで放置しておける男だ。針の一縫いや二縫い、どうということもないのだろう。

 治療時間は、大した物ではなかった。
「数日は、安静にして、傷口を清潔に保つこと。寝ているのが一番だ。」
「わかった」
数日分の塗り薬を渡して、治療代金を受け取る。銀貨が一枚多かったから返そうとしたが、彼は笑って頭を横に振った。気前はいいようだった。
「それじゃあ、これももっていくといい」
「これは?」
「感染予防の薬だ。もう危険な潜伏期間は過ぎているが、念のために飲んでおくといい」
「恩に着るぜ、先生、じゃあな」
ほんのすこしだけ傷口をかばいながら、青年はゆっくりと立ち上がった。
「お大事に」
「ありがとうな」
さすがに縫ったばかりでは、歩きにくいのだろう。緩慢なペースで、彼は部屋を出て行った。
今日の仕事が、終わりを告げた。




続く?
+++++++++++++++++++++++++
スタルブニャーク=破傷風
医療関係はさっぱりわからないので、嘘八百です。
 

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