caravan活動記録と雑記。
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Posted by mio - 2011.08.07,Sun
なんか他にも書いてたきがするのですが見つからなかったのでこれで〆ます(×
それからしばらくの後。絶対安静だったグーリャの容態も、予定より早く回復していた。
まだ薄く痣は残っていたが、骨折が軽症だったこともあって、一月程度で概ねの傷は完治したのだった。
「もう動いても大丈夫だろう」
「ご迷惑をおかけいたしました……」
セルゲイは深々と頭をたれ、医師である主に詫びた。
「これが仕事だからな」
「は……」
「しかしこちらには些か困っている」
そういってアーリクは、自分の膝にちょこんとっている少女に目線を向けた。少女はなあに?とでも言う様に、アーリクを見上げるばかりだ。
「……ナースチャ、降りなさい、旦那様がお困りだ」
「えー、やだー」
ナースチャは頬を膨らまし、アーリクの服をぎゅっと掴む。
あの日からずっとこの調子である。まさかこれほど子供に懐かれる日がくるとは思っていなかったアーリクは、実際のところ疲れていた。
ポストーチの力を借りて対処してきたものの、そもそも子供が苦手なのだ。
主の困惑を察したグーリャは、また一段と深く頭を下げた。
「申し訳ございません……」
「まだ無理はしないほうがいいとはいえ、この子はお前に任せるぞ」
ふう、とため息をついたアーリクに、グーリャが返答するより先にナースチャの方が反応した。
「ナースチャ、だんなさまがいいっ」
「こら、我が儘をいうなナースチャ」
セルゲイが窘めると、ナースチャはますます膨れる。文字通り、頬をぷくっと膨らませて、グーリャを睨みつけた。
「ナスターシャ」
アーリクは少女の別の愛称を呼び、その頭を撫でてやった。恐る恐るといった動作だ。
「私には仕事がある。空いた時間でないと、お前とはいてやれない」
「ええー……」
泣きそうな顔になるナースチャに、アーリクは心底困った。
「夕刻であれば、本を読んでやろう。それまではグーリャと待っていなさい。散歩でもいい」
「グーリャ、げんきになったの?」
「ああ、だがあまり無理はさせないように」
「じゃあ、だんなさまが帰ってくるの、グーリャとまってる!」
ころっと調子をかえて、ナースチャが笑った。それを見て安堵しながらも、従者は主にさらに頭をたれるばかりだった。
「旦那様、ご迷惑ばかりおかけいたします……」
「まったく、お前が子供好きなことは知っているつもりだったが、拾ってくるとは思わなかった」
しかもジンの子とはな、と言いながら、アーリクが喉をならした。笑っているのだろう。
「とりあえず、この子を相手しがてら、時間を見つけて隊商に登録をしてこい。」
「よろしいのですか?」
「私はいま、この隊商の医者をしているからな。お前にも加盟してもらわんことには困る。」
戻るところもないからな、という呟きに、セルゲイは上手く言葉を見つけられず、御意と呟くに留まった。
「あと、天幕と武器も調達してこい。服も必要だな」
「お恥ずかしながら……」
無言で、アーリクは金の入った包みを手渡した。
「旦那様」
「従者の品を調達できないほど、私は貧窮していない。なに、お前も隊商で働けば、そのうち自分で賄えるだろう」
「……申し訳ございません」
「くどいぞ、詫びは聞き飽きた。さっさと行け。ナスターシャ、グーリャが服を買ってくれるぞ」
「ほんと?うれしいっ」
ナースチャがアーリクの膝からようやく降り、体重を感じさせない動きでグーリャに飛びつく。
「ああ、だから、まだ無理はさせるなと……」
「大丈夫です」
苦笑気味に従者が立ち上がる。足取りは危うげない。
「ではいってまいります」
医者は軽く片手を掲げ、二人を送り出し、それから少しだけ、従者に茶の用意をさせていかなかったことを後悔した。
まだ薄く痣は残っていたが、骨折が軽症だったこともあって、一月程度で概ねの傷は完治したのだった。
「もう動いても大丈夫だろう」
「ご迷惑をおかけいたしました……」
セルゲイは深々と頭をたれ、医師である主に詫びた。
「これが仕事だからな」
「は……」
「しかしこちらには些か困っている」
そういってアーリクは、自分の膝にちょこんとっている少女に目線を向けた。少女はなあに?とでも言う様に、アーリクを見上げるばかりだ。
「……ナースチャ、降りなさい、旦那様がお困りだ」
「えー、やだー」
ナースチャは頬を膨らまし、アーリクの服をぎゅっと掴む。
あの日からずっとこの調子である。まさかこれほど子供に懐かれる日がくるとは思っていなかったアーリクは、実際のところ疲れていた。
ポストーチの力を借りて対処してきたものの、そもそも子供が苦手なのだ。
主の困惑を察したグーリャは、また一段と深く頭を下げた。
「申し訳ございません……」
「まだ無理はしないほうがいいとはいえ、この子はお前に任せるぞ」
ふう、とため息をついたアーリクに、グーリャが返答するより先にナースチャの方が反応した。
「ナースチャ、だんなさまがいいっ」
「こら、我が儘をいうなナースチャ」
セルゲイが窘めると、ナースチャはますます膨れる。文字通り、頬をぷくっと膨らませて、グーリャを睨みつけた。
「ナスターシャ」
アーリクは少女の別の愛称を呼び、その頭を撫でてやった。恐る恐るといった動作だ。
「私には仕事がある。空いた時間でないと、お前とはいてやれない」
「ええー……」
泣きそうな顔になるナースチャに、アーリクは心底困った。
「夕刻であれば、本を読んでやろう。それまではグーリャと待っていなさい。散歩でもいい」
「グーリャ、げんきになったの?」
「ああ、だがあまり無理はさせないように」
「じゃあ、だんなさまが帰ってくるの、グーリャとまってる!」
ころっと調子をかえて、ナースチャが笑った。それを見て安堵しながらも、従者は主にさらに頭をたれるばかりだった。
「旦那様、ご迷惑ばかりおかけいたします……」
「まったく、お前が子供好きなことは知っているつもりだったが、拾ってくるとは思わなかった」
しかもジンの子とはな、と言いながら、アーリクが喉をならした。笑っているのだろう。
「とりあえず、この子を相手しがてら、時間を見つけて隊商に登録をしてこい。」
「よろしいのですか?」
「私はいま、この隊商の医者をしているからな。お前にも加盟してもらわんことには困る。」
戻るところもないからな、という呟きに、セルゲイは上手く言葉を見つけられず、御意と呟くに留まった。
「あと、天幕と武器も調達してこい。服も必要だな」
「お恥ずかしながら……」
無言で、アーリクは金の入った包みを手渡した。
「旦那様」
「従者の品を調達できないほど、私は貧窮していない。なに、お前も隊商で働けば、そのうち自分で賄えるだろう」
「……申し訳ございません」
「くどいぞ、詫びは聞き飽きた。さっさと行け。ナスターシャ、グーリャが服を買ってくれるぞ」
「ほんと?うれしいっ」
ナースチャがアーリクの膝からようやく降り、体重を感じさせない動きでグーリャに飛びつく。
「ああ、だから、まだ無理はさせるなと……」
「大丈夫です」
苦笑気味に従者が立ち上がる。足取りは危うげない。
「ではいってまいります」
医者は軽く片手を掲げ、二人を送り出し、それから少しだけ、従者に茶の用意をさせていかなかったことを後悔した。
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